地球温暖化の影響で、これまで比較的マイナーだった北の産地に注目が集まっています。ブルゴーニュであれば、グラン・オーセロワ、中でもヴェズレです。この地のパイオニアと言えば、ドメーヌ・ド・ラ・カデットですが、カデットに続く新しいドメーヌはなかなか現れてきませんでした。しかし、そのヴェズレにもやっと新しいナチュールのドメーヌが誕生しました。2022 年1 月にヴェズレの近郊 Island イスランのコミューンに Jean-Paul Pando ジャン・ポ-ル・パンドによって設立されたドメーヌ、La Mutine ラ・ミュティヌです。
1987 年生まれのパンドは、プロヴァンスの出身。学業を修めた後、レストランで働いていて、そこでワインの魅力に取りつかれました。その後、プロヴァンスのドメーヌ・アンリ・ミラン、ボルドーのシャトー・レ・カルム・オー・ブリオン、シャトー・ジスクール、ムルソーのルーロ、同じヴェズレのドメーヌ・ド・ラ・カデットで働き、グラン・ヴァンからナチュールまで、多種多様なワイン造りを学びました。そんなジャン・ポ-ルはブルゴーニュワインが大好きでヴェズレ地区に移住。
畑を取得して自身のドメーヌを興したのです。初ヴィンテージは 2022 年。2023 年末のリリースと同時にヨーロッパで人気が爆発しました。弊社は 2024 年の 6 月にドメーヌを訪問し、2022 ヴィンテージの最後のアロケーションを確保しました。現在のドメーヌの栽培面積は 2.5ha で、ピノ・ノワール(1.2ha)、シャルドネ(0.8ha)、ムロン・ド・ブルゴーニュ(0.4ha)の 3 品種を栽培しています。
シャン・カデのリューディのシャルドネの区画と、ムロン・ド・ブルゴーニュの区画が自社所有の畑で、その他の区画は借りている畑です。地質は粘土石灰質。栽培はビオロジックで、ルーロで学んだビオディナミの手法も導入しています。醸造に関しては、オーセンティックでありながら、可能な限りシンプルで介入の少ないナチュラルな醸造を目指しています。ブドウは完熟を待って手摘みで収穫され、その場で厳格に選果されて、小さな籠で醸造所に運ばれます。発酵は野生酵母で自発的に行われます。もちろん醸造添加物は使わず、無清澄・無濾過で瓶詰めされます。亜硫酸に関しては、ボトリング後のネガティブな反応を避けるために、瓶詰め時に限り必要最小限のみ添加しています。現在のドメーヌの総生産量は約 8800 本。そのうちの半分がピノ・ノワールです。
ドメーヌ名の『La Mutine ラ・ミュティヌ』とは、フランス語で「反逆者」という意味です。訪
問の際に、「なぜこの名前をつけたの?」と聞いたところ、「僕の家は妻と 2 人の娘がいて、
家庭の中で男は僕一人。女性達に囲まれているんだよ。だから、この名前をつけたのさ。」
と、なんとも意味深な返事が返ってきました。家庭の中の反逆者(笑)だということでしょう
か?あえてツッコミの質問はしませんでした。